大学美術館は,門を挟んで美術館,広場,守衛所を含め一連の外観を形成し,入口の広場は美術館の人の溜まりとしての利用を考えている。美術館の外観は1階から2階,すなわち地面に密着した部分は赤砂岩の割肌張り,上層の3階部分はアルミキャストパネル張り。上下をつないでいる楕円体のシリンダーは白御影張りという3つの主要な素材で仕上げている。
この構成は3階の大空間広場側の先端部を楕円体で支えている構造の形式とも合致している。大学美術館の施設は収蔵部門,展示部門,研究管理部門の3つに大別されている。述べ床面積の約3分の1が収蔵庫,そして約3分の1を展示室が占め,残りの部分の研究管理部門に加え,学生食堂,ミュージアムショップ,画材などの店舗が合致されている。
一般の美術館に比べて収蔵庫が大きいのは,明治20年の東京美術学校開設の頃から集められてきた芸術資料が現在44,000点余りに達している事と,さらにこの先20年程の収集余地を考慮しているからである。
展示スペースは常設展示以外には,企画展や大学の特性として教官,学生による制作の展示に活用される。インスタレーション,パフォーマンス,コンサートなど音楽学部とも連携して行い,同時代芸術の実験性と多様性を追及しながら,情報発信の場へと展開していく事を大いなる目標としている。