1975-1977

雑創の森学園
京都府田辺

敷地面積 7323.0u

延床面積  1309.0u
top works schools



 「雑創の森」は「様々な創造性」あるいは「未完成の創造性」を意味し、子供の探究心と素朴な遊びをかきたてるものでいっぱいである。「雑創」はその音から、「雑草」あるいは「ランダムな考え」に関係している。「雑創」によって、一つは「生命の力本説」をイメージし、「ランダムな考え」によって「楽しい空想」を連想する。したがって、「雑創の森」はかなり複雑なイメージを喚起し、複合の含蓄を持っていることとして理解されると思う。雑草の森が陽気な想像でいっぱいで、素朴な創造的遊びの場になるように、私たちは願い、スタートした。

 この計画は風をテーマに、彫刻家・新宮晋氏の協力を得ることで開始された。互いの領分を侵略しないように、互いに別々の作業を進めて、それをジョイントさせたとき、はじめてモノづくり同士の予測を超えた個性の違いが明確となる。それゆえ共同性の価値は私的な領域を超越する事ができるイメージが必要であった。

 そこに、パキスタン、ハイデラバードの街並み写真があった。それは、どの住居にも付いているユーモラスな風受けと、その群立する風景写真であった。そしてそれが、はじめての共通のイメージをもたらしてくれることになった。

 そこに置かれた7つ搭は自然の名代として、風をテーマにこの学園の教育理念を表象するものとして位置づけられ、頂部には七つの文字が刻み込まれることになった。

biocycle, human, cosmos, creation, imagination, dialogue, monolohue……….

 搭はやがて二次的な意味で実用化し始める。Biocycleは親のサークル活動のためにあてられる母の搭へ。Humanは遊具工作の工房搭に。Cosmosは教育成果の記録の搭に。屋上のミニホールを挟んだdialogueとmonologueの搭は教育の研究活動の場として計画され、あらかじめ機能性を所有していたかのように、やがて時が来れば実用空間に転用する事になる。したがって七つの搭の総体は、一貫した教育研究機構として生まれ変わり、その保有する知的で精神的な構造は垂直な搭として形象され、幼稚園を支える杭となった。

7つの刻印